「カーナビでWi-Fiテザリングを使いたいけれど、そもそもテザリングでカーナビは使えるのか?」と疑問に思っていませんか。
いざ試そうとしても、iPhoneやAndroidでの具体的なやり方が分からなかったり、テザリングできない、あるいはWi-Fi接続できないといったトラブルに直面することもあるでしょう。
また、接続して一体何ができるのか、特に人気のYouTube視聴は可能なのか、気になりますよね。
さらに、車に乗ったらテザリングを自動化する方法(特にAndroidユーザー向け)や、通信手段としてテザリングはWi-FiとBluetoothのどちらがいいのか、動画を1時間で何ギガ使うのかといった通信量の問題、そしてテザリングがダメな理由は何?といったデメリットまで、知りたいことは多岐にわたるはずです。
この記事では、カーナビのWi-Fiテザリングに関するあらゆる疑問に答え、その設定方法から活用術、トラブル解決法までを網羅的に解説します。
カーナビのwi-fiテザリング基本と設定方法
- テザリングでカーナビは使えるのか?
- テザリング接続によって何ができるのか
- iPhone・Android別のテザリングのやり方
- カーナビでYouTubeを視聴する方法
- 1時間で何ギガ使うかという通信量の目安
- テザリングはWi-FiとBluetoothのどちらがいい?
テザリングでカーナビは使えるのか?

お手持ちのスマートフォンとカーナビを連携させる「テザリング」機能は、多くの場合で利用できます。
かつてのカーナビは、一度取り付けたら地図データも機能もそのまま、というのが当たり前でした。
しかし、近年のモデルはインターネットへの常時接続を前提とした多機能な情報端末へと大きく進化を遂げています。
この変化の背景には、カーナビ本体にWi-Fiの受信機能が標準で搭載されるようになったことが挙げられます。
これにより、スマートフォンを一時的にモバイルWi-Fiルーターのように変身させる「テザリング」という仕組みを使って、カーナビをインターネットの世界へ繋げることが可能になったのです。
例えば、市販ナビではパイオニアの「サイバーナビ」や「楽ナビ」、ケンウッドの「彩速ナビ」といった人気シリーズがWi-Fi接続に対応しています。
また、自動車メーカー各社もこの流れを重視しており、トヨタの「T-Connect」やホンダの「Honda CONNECT」といった純正ナビゲーションシステムの一部でも、テザリングによるオンライン機能の活用が標準となりつつあります。
テザリングを利用することで、これまでとは比較にならないほど高精度な情報をリアルタイムで取得できるようになります。
例えば、従来の渋滞情報(VICS)よりも広範囲で正確な交通情報を取得したり、新しい道路が開通すれば自動で地図データを更新したりすることが可能になるでしょう。
ただ、全てのカーナビがこの機能に対応しているわけではありません。
特に、数年前に購入したモデルや、機能を絞った廉価版のカーナビではWi-Fi機能が搭載されていないこともあります。
ご自身のカーナビが対応しているかどうかを事前に確認することが、非常に重要です。
確認する最も確実な方法は、カーナビの「設定」メニューを開き、「Wi-Fi設定」や「通信設定」といった項目が存在するかを探すことです。
もし項目があれば、テザリングを利用できる可能性が高いでしょう。
もちろん、取扱説明書やメーカーの公式サイトでスペックを確認するのも有効な手段となります。
もし対応していれば、特別な通信機器を別途契約したり購入したりすることなく、今お使いのスマートフォン一つでカーナビの性能を最大限に引き出し、より快適で便利なカーライフを実現できます。
テザリング接続によって何ができるのか

カーナビをテザリングでインターネットに接続すると、これまで利用できなかった様々なオンライン機能が解放され、ドライブの利便性や楽しみ方が大きく向上します。
具体的に何ができるようになるのか、主な機能をいくつかご紹介します。
より高精度な渋滞情報とルート案内
従来のVICS情報に加え、実際に走行している他のユーザーの走行データ(プローブ情報)をリアルタイムで取得できます。
これにより、VICSがカバーしていない細い道や一般道の渋滞も把握し、より最適なルートを案内してくれるようになります。
パイオニアの「スマートループ」などがこの代表例です。
地図データの自動更新
新しい道路や施設が開通した際に、これまではパソコン経由でSDカードを更新したり、ディーラーに持ち込んだりする必要がありました。
しかし、テザリング接続なら、エンジンをかけるだけで新しい地図データが自動でダウンロード・更新されるため、いつでも最新の地図で走行できます。
ブラウザ機能による情報検索や動画視聴
一部の高機能ナビ(例:サイバーナビ)にはブラウザ機能が搭載されており、カーナビの画面で直接ウェブサイトを閲覧したり、YouTubeなどの動画を視聴したりすることが可能です。
休憩中に目的地の情報を調べたり、同乗者を楽しませたりするのに役立ちます。
まさに、カーナビが「車載タブレット」のような存在になるイメージですね。
これまでスマホでやっていたことの一部を、カーナビの大画面で操作できるようになります。
iPhone・Android別のテザリングのやり方

ここでは、スマートフォン側とカーナビ側、それぞれの設定手順を解説します。
iPhoneとAndroidでスマートフォンの操作が少し異なりますが、基本的な流れは同じです。
iPhoneのテザリング設定手順
- 「設定」アプリを開く: ホーム画面から「設定」をタップします。
- 「インターネット共有」を選択: 設定メニューの中から「インターネット共有」を探してタップします。
- 「ほかの人の接続を許可」をオンにする: スイッチをタップしてオン(緑色)にします。
- パスワードの確認: 「“Wi-Fi”のパスワード」の項目に表示されているパスワードをメモしておきます。これがカーナビ側で入力するパスワードです。ネットワーク名(SSID)は通常、iPhoneに設定した名前(例:「〇〇のiPhone」)になります。
Androidのテザリング設定手順
※お使いの機種やAndroidのバージョンにより、メニューの名称が若干異なる場合があります。
- 「設定」アプリを開く: ホーム画面やアプリ一覧から「設定」をタップします。
- 「ネットワークとインターネット」を選択: 設定メニューの中からネットワーク関連の項目をタップします。
- 「アクセスポイントとテザリング」を選択: 「テザリング」や「ホットスポット」といった名称の場合もあります。
- 「Wi-Fiアクセスポイント」をオンにする: スイッチをタップしてオンにします。
- パスワードとネットワーク名の確認: 「Wi-Fiアクセスポイント」の項目をタップすると、ネットワーク名(SSID)とパスワードを設定・確認できます。これをメモしておきます。
カーナビ側の接続設定
スマートフォン側の準備が整ったら、次はカーナビを操作します。
- カーナビの「設定」メニューから「Wi-Fi設定」や「通信設定」などを開きます。
- Wi-Fi機能を「オン」にして、利用できるネットワークの一覧を表示させます。
- 一覧の中から、先ほど確認したご自身のスマートフォンのネットワーク名(SSID)を探して選択します。
- パスワードの入力画面が表示されたら、メモしておいたパスワードを正確に入力し、「接続」や「完了」をタップします。
これで接続が成功すれば、カーナビの画面にWi-Fiの接続マークが表示されます。
カーナビでYouTubeを視聴する方法

カーナビでYouTubeを視聴するには、主に2つの方法があります。
お使いのナビの機能によって、どちらの方法が適しているかが決まります。
方法1:ブラウザ機能搭載ナビで直接見る
パイオニアの「サイバーナビ」など、一部のハイエンドモデルにはWebブラウザ機能が標準で搭載されています。
このタイプのナビであれば、テザリングでインターネットに接続し、ナビのブラウザ機能を使ってYouTubeのサイトにアクセスするだけで、動画を直接再生できます。
特別な追加機器は不要で最も手軽ですが、対応しているナビが限られる点がデメリットです。
方法2:HDMI入力端子と外部機器を利用する
お使いのカーナビにHDMI入力端子が装備されている場合、より多くの車種でYouTube視聴が可能になります。
この方法では、以下のようなストリーミングデバイスを利用します。
- Amazon Fire TV Stick
- Google Chromecast with Google TV
これらのデバイスをカーナビのHDMI端子に接続し、デバイスの電源をUSB端子などから確保します。
そして、ストリーミングデバイスのWi-Fi設定でスマートフォンのテザリングに接続すれば、デバイス内のYouTubeアプリをカーナビの画面に映し出すことができます。
リモコン操作で快適に動画を選べるのが大きなメリットです。
安全のための注意点
道路交通法により、運転者が走行中にカーナビの画面を注視することは禁止されています。
YouTubeなどの動画は、必ず車を安全な場所に停車してから、同乗者と共に楽しむようにしてください。
1時間で何ギガ使うかという通信量の目安

テザリングを利用する上で最も気になるのが、データ通信量、いわゆる「ギガ」の消費です。
特に動画視聴は多くのデータを消費するため、注意が必要です。
1時間あたりの通信量の目安を、用途別に見てみましょう。
用途 | 内容・画質 | 1時間あたりの通信量(目安) |
---|---|---|
YouTube視聴 | 標準画質 (480p) | 約0.5GB ~ 0.7GB |
YouTube視聴 | 高画質 (720p) | 約1.0GB ~ 1.5GB |
YouTube視聴 | 最高画質 (1080p) | 約2.0GB ~ 3.0GB |
音楽ストリーミング | 標準音質 | 約0.05GB ~ 0.07GB |
地図更新・渋滞情報取得 | – | ごく少量(数MB程度) |
見ての通り、動画の画質によって通信量は大きく変わります。
標準画質(480p)でも1時間で約0.5GB以上を消費するため、長時間のドライブで使い続けると、スマートフォンの契約プランの上限に達してしまう可能性があります。
データ容量が無制限のプランを契約していると安心ですね。
一方、音楽ストリーミングや地図情報の取得だけであれば、消費するデータ量は比較的少ないです。
ご自身の使い方に合わせて、データ残量を意識することが大切になります。
テザリングはWi-FiとBluetoothのどちらがいい?

スマートフォンとカーナビを接続するテザリングには、主に「Wi-Fi」「Bluetooth」「USB」の3つの方式があります。
それぞれに一長一短があるため、用途に応じて最適なものを選ぶのが賢い使い方です。
接続方式 | メリット | デメリット | おすすめの用途 |
---|---|---|---|
Wi-Fiテザリング | ・通信速度が速い ・複数台の機器を同時に接続できる | ・スマートフォンのバッテリー消費が激しい | YouTubeなどの動画視聴、大容量の地図データ更新 |
Bluetoothテザリング | ・消費電力が少ない | ・通信速度が遅い ・接続できるのは1台のみ | 渋滞情報の取得、音楽ストリーミング(標準音質) |
USBテザリング | ・最も通信が高速で安定している ・スマートフォンを充電しながら利用できる | ・有線接続のため、ケーブルが邪魔になることがある | 長時間の利用、とにかく安定性を重視したい場合 |
結論として、動画視聴のように高速な通信が求められる場合はWi-Fiテザリングが最適です。
一方で、渋滞情報の取得や音楽を聴く程度であれば、バッテリーの消費を抑えられるBluetoothテザリングが適しています。
長距離ドライブでバッテリー残量を気にせず安定して使いたい、というシナリオではUSBテザリングが最も信頼できる選択肢となるでしょう。
それぞれの特性を理解し、その時々の状況に合わせて使い分けるのがおすすめです。
カーナビのWi-Fiテザリング応用とトラブル解決
- テザリングできない時の主な原因と対策
- それでもWi-Fi接続できない時のチェック点
- 知っておきたいテザリングがダメな理由
- 車に乗ったらテザリングを自動化【Android編】
- まとめ:カーナビWi-Fiテザリング活用のコツ
テザリングできない時の主な原因と対策

いざ使おうとした時に「テザリングできない」という状況は非常によくあります。
しかし、原因はシンプルな設定ミスであることがほとんどです。慌てずに以下の点を確認してみてください。
スマートフォン側の確認事項
- テザリングオプションへの加入: 契約している携帯キャリアや料金プランによっては、テザリングが有料のオプションサービスになっている場合があります。まずはご自身の契約内容を確認し、オプションに加入しているか確かめましょう。
- テザリング機能がオフになっている: スマートフォンの設定で「インターネット共有」や「アクセスポイント」がオフになっていないか確認します。基本的なことですが、意外と見落としがちです。
- モバイルデータ通信がオフになっている: 当然ですが、スマートフォン自体がインターネットに繋がっていなければテザリングはできません。機内モードになっていないか、モバイルデータ通信が有効になっているかを確認してください。
- 接続台数の上限: スマートフォンによって、テザリングで同時に接続できる機器の台数には上限があります(iPhoneは最大5台など)。他の機器が接続されていないか確認してみましょう。
カーナビ側の確認事項
- Wi-Fi機能がオフになっている: カーナビ側の設定でWi-Fiがオフになっていないか確認します。
- パスワードの入力ミス: 最も多い原因の一つです。大文字と小文字、数字とアルファベットなど、一文字ずつ慎重に入力し直してみてください。
まずは再起動を試す
上記を確認しても解決しない場合、一度スマートフォンとカーナビの両方を再起動(エンジンを一度切ってかけ直す)してみてください。
一時的な不具合であれば、これだけであっさり解決することがよくあります。
それでもWi-Fi接続できない時のチェック点

基本的な設定を確認しても接続できない場合、もう少し専門的な原因が隠れている可能性があります。
以下の点をチェックしてみてください。
セキュリティ(暗号化方式)の不一致
Wi-Fiの接続には、不正なアクセスを防ぐための暗号化方式(WPA2, WPA3など)が使われています。
スマートフォンのテザリングで設定されている暗号化方式に、カーナビ側が対応していないと接続できません。
特に、古いカーナビと最新のスマートフォンを組み合わせた場合に発生しやすい問題です。
スマートフォンのテザリング設定で、より互換性の高い暗号化方式(例:WPA2)に変更できるか試してみましょう。
スマートフォンの省電力モード
スマートフォンのバッテリーを長持ちさせるための「省電力モード」や「データセーバー」がオンになっていると、バックグラウンドでの通信が制限され、テザリング機能が正常に動作しないことがあります。
一度これらのモードをオフにしてから、再度接続を試みてください。
周波数帯(2.4GHz / 5GHz)の問題
Wi-Fiには「2.4GHz」と「5GHz」という2つの周波数帯があります。
5GHzは高速ですが障害物に弱く、2.4GHzは速度は劣るものの障害物に強く遠くまで届きやすい特性があります。
古いカーナビは2.4GHzにしか対応していない場合があります。
スマートフォンのテザリング設定で、使用する周波数帯を「2.4GHz優先」などに変更すると接続できることがあります。
これらの専門的な設定を確認しても改善しない場合は、スマートフォンやカーナビのOSの相性問題も考えられます。
メーカーのサポートページなどで同様の事例がないか調べてみるのも一つの手です。
知っておきたいテザリングがダメな理由

テザリングは非常に便利な機能ですが、万能ではありません。
「ダメな理由」というよりは、利用する上で知っておくべきデメリットや注意点が存在します。
これらを理解した上で利用することが重要です。
デメリットと注意点
スマートフォンのバッテリー消費が激しい テザリングは常に通信を行うため、スマートフォンのバッテリーを大幅に消費します。特にWi-Fiテザリングは消費が激しく、長時間の利用ではモバイルバッテリーや車載充電器が必須です。
スマートフォン本体が熱を持つ 長時間のテザリングは、スマートフォンのプロセッサに負荷をかけ、本体がかなり熱くなることがあります。高温状態が続くと、バッテリーの劣化を早めたり、スマートフォンの動作が不安定になったりする原因にもなります。
データ通信量を大量に消費する 前述の通り、特に動画視聴などでは大量のデータを消費します。データ容量に上限のあるプランの場合、気づかないうちに速度制限がかかってしまうリスクがあります。
電話の着信で通信が途切れることがある 使用しているスマートフォンの仕様にもよりますが、テザリング中に電話がかかってくると、インターネット接続が一時的に切断されたり、不安定になったりすることがあります。
これらのデメリットを理解し、「長時間の利用では充電しながら使う」「夏場の車内に放置しない」「データプランを見直す」といった対策を講じることが、快適にテザリングを使いこなすコツと言えるでしょう。
車に乗ったらテザリングを自動化【Android編】

毎日車に乗るたびに、手動でスマートフォンのテザリングをオンにするのは意外と面倒な作業です。
この手間をなくし、車に乗ったら(カーナビのBluetoothに接続されたら)自動的にテザリングをオンにする設定が可能です。
ここではAndroidスマートフォンでの設定方法を紹介しますが、iPhoneでも「ショートカット」アプリのオートメーション機能を使えば同様のことが実現できます。
この設定をしておけば、ポケットやカバンからスマホを取り出すことなく、エンジンをかけるだけでカーナビがネットに繋がるので、本当に便利ですよ!
Androidの標準機能や自動化アプリを利用する
一部のAndroid端末には、特定のBluetooth機器に接続した際に特定の動作を自動で行う機能が標準で備わっている場合があります。
「設定」→「接続済みのデバイス」などから設定できないか確認してみましょう。
もし標準機能で対応していない場合でも、「MacroDroid」や「Tasker」といった自動化アプリをインストールすることで、より高度な自動化が可能です。
MacroDroidを使った自動化設定の例
- トリガーを設定: 「新しいマクロを追加」で、トリガー(動作のきっかけ)を設定します。「接続」→「Bluetoothイベント」→「デバイス接続」と進み、ご自身のカーナビを選択します。
- アクションを設定: 次にアクション(実行する動作)を設定します。「接続」→「ホットスポットON/OFF」→「ホットスポットON」を選択します。
- 保存する: これで「カーナビのBluetoothに接続されたら、ホットスポット(テザリング)をオンにする」というマクロが完成します。
同様に、「カーナビのBluetooth接続が切れたら、ホットスポットをオフにする」というマクロも作成しておけば、エンジンを切った際に自動でテザリングがオフになり、バッテリーの無駄な消費も防げます。