愛車のカーナビでYouTubeやNetflixを楽しみたいと考えたとき、必ずと言っていいほど候補に挙がるのが「AI Box」です。
中でもCarlinkitとOttocastは市場を牽引する2大ブランドであり、多くの方がどちらを選ぶべきか頭を悩ませています。
走行中に動画を楽しめるこの便利なガジェットですが、 価格が安いから、あるいは有名だからという理由だけで選んでしまうと、後で「自分の使い方には合わなかった…」と後悔しかねません。
今回のCarlinkitとOttocastの比較記事では、単なるスペック上の性能の違いだけでなく、長期的に利用する上で重要な価格・コスパの観点や、購入者の生の声である評判・口コミの差にも深く切り込んでいきます。
さらに、それぞれの製品が持つメリットや注意すべきデメリットを徹底的に解剖。
基本的な疑問である「Carlinkitはどこの国の製品なのか?」という点から、購入前に絶対に確認しなければならないCarlinkitの対応車種に関する詳細な情報まで、あなたが抱えるであろう全ての疑問に答えます。
この記事を最後まで読めば、数ある選択肢の中から、あなたのカーライフを真に豊かにする最適な一台がどれなのか、明確な答えが見つかるはずです。
CarlinkitとOttocastの比較|2大ブランドの基本情報
- Carlinkitはどこの国のメーカー?
- 両ブランドの根本的な違いを解説
- 搭載チップやOSなど性能の違い
- 価格・コスパで選ぶならどっち?
- ユーザーの評判・口コミの差は?
- それぞれのメリットを整理
Carlinkitはどこの国のメーカー?

AI Boxのような海外製ガジェットを購入する際、まず気になるのが、「Carlinkitはどこの国の製品なのか」という点でしょう。
メーカーの素性を知ることは、製品の品質やサポートを推し量る上で欠かせない要素であり、安心して使い続けるための第一歩です。
Carlinkitは、2014年に設立された中国・広東省恵州市に拠点を置く「Huizhou Yunlian Technology社」が展開するブランドです。
同社は自動車ネットワークシステムやマルチスクリーン相互接続技術を専門としており、革新的な車載ガジェットの開発に注力しています。
比較的新しいメーカーながら、徹底したコスト管理と積極的な技術採用により、手頃な価格で高性能な製品を市場に投入し、急速に世界中のユーザーから支持を集めるようになりました。
後発ならではの俊敏な開発体制と価格戦略で、市場での存在感を一気に高めたのが大きな特徴と言えます。
一方、比較対象となるOttocastは、2009年に設立された「Cartizan社」が展開するブランドで、こちらも中国に拠点を置いています。
AI Box市場においては業界の草分け的な存在であり、長年の開発経験で培われたブランドイメージと製品の安定性が最大の強みです。
業界のパイオニアとして、品質の高い製品を継続的に供給し続けることで、多くのユーザーから厚い信頼を得ています。
ブランドの立ち位置
Carlinkit: 2014年設立。車載ネットワーク技術を専門とする企業が親会社。コストパフォーマンスに優れた製品で急成長中の後発ブランド。
Ottocast: 2009年設立。AI Box市場を初期から牽引してきた実績と信頼性が強みの老舗ブランド。
このように、どちらも車載技術をバックグラウンドに持つ中国企業が開発していますが、その歴史の長さと市場戦略には明確な違いが見られます。
この背景を深く理解することが、両製品の特性を正しく比較し、ご自身のニーズに合った選択をするための重要な基盤となります。
両ブランドの根本的な違いを解説

CarlinkitとOttocastの最も根本的な違いは、単なる製品スペックではなく、ブランドが目指す方向性、すなわち戦略と市場でのポジショニングにあります。
この根本思想の違いが、製品の価格設定、ラインナップの豊富さ、さらにはユーザーサポートのあり方にまで色濃く反映されています。
少し乱暴な例えかもしれませんが、日本の携帯キャリアに置き換えると、そのキャラクターの違いが直感的に理解できるかもしれません。
Ottocastは、長年の実績と幅広いユーザー層からの信頼を背景に持つ、いわば「ドコモ」のような王道の存在です。
ブランド力が高く、関連情報もWeb上に豊富に存在するため、「買っておけば間違いない」という安心感があります。
ただし、そのブランド価値や手厚いサポート体制が価格に反映されるため、少し高価になる傾向があります。
対するCarlinkitは、魅力的な価格と最新スペックを武器に市場シェアを拡大する「ソフトバンク」のようなアグレッシブなチャレンジャーです。
常にコストパフォーマンスを最優先し、最新の技術をいち早く取り入れることで、価格に敏感で新しいもの好きなユーザーから絶大な支持を集めています。
このため、あなたが製品選びで何を最も重視するかによって、選ぶべきブランドは自ずと決まってきます。
「多少高くても、実績のあるブランドの安心感を手に入れたい」のか、「最新のスペックを少しでも安く手に入れたい」のか。
この視点が、後悔しない選択をするための重要な分かれ道となります。
項目 | Carlinkit | Ottocast |
---|---|---|
ブランドイメージ | コストパフォーマンス、チャレンジャー、最新技術 | 信頼性、パイオニア、大手、安心感 |
価格帯 | 比較的安価 | 比較的高価 |
ターゲットユーザー | コスパを重視し、ある程度自分で設定できる中〜上級者 | 価格よりも安心感を重視し、豊富な情報を求める初心者〜中級者 |
主な販売チャネル | ネット通販(Amazon, 楽天など)が中心 | ネット通販に加え、一部カー用品店での取り扱いも |
情報量 | やや少なめだが、増加傾向にある | 豊富(国内のブログ、YouTubeレビューが多数) |
もちろん、これはあくまで全体的な傾向です。
どちらのブランドも様々なモデルをリリースしているため、最終的には個々の製品で判断することが大切ですが、このブランドイメージの違いを念頭に置いておくことで、製品比較がよりスムーズに進むでしょう。
搭載チップやOSなど性能の違い

AI Boxの操作感や快適性を決定づける心臓部が、CPU(SoC)やメモリ(RAM)、そして土台となるAndroid OSのバージョンです。
これらの基本的な性能が、アプリの起動速度や複数アプリを同時に使用した際の安定性に直結します。
ここでは、両ブランドの主力モデルを例に、具体的な性能の違いを詳しく比較検討します。
まず押さえておきたいのは、Carlinkitは後発ブランドとして、最新の技術を積極的に製品に反映させることでOttocastとの差別化を図っているという点です。
特にAndroid OSのバージョンにおいて、その傾向が顕著に現れています。
例えば、両ブランドの8GBメモリを搭載した高性能モデルを比較してみましょう。
どちらもQualcomm(クアルコム)製の高性能な8コアCPU「Snapdragon」シリーズを採用しており、動画再生やナビゲーションといった基本的な操作において、体感できるほどの大きな性能差はありません。
しかし、OSのバージョンに目を向けると、明確な違いが見えてきます。
OSバージョンの違い(代表例)
Carlinkit Tbox Ambient / Tbox Plus: Android 13
Ottocast OttoAibox P3: Android 12
Androidの公式サイトでも紹介されているように、OSのバージョンが新しいほど、セキュリティパッチが最新であったり、プライバシー保護機能が強化されていたり、新しいアプリとの互換性が高かったりといったメリットがあります。
もちろん、Android 12がすぐに時代遅れになるわけではなく、現時点でほとんどのアプリは問題なく動作します。
しかし、3年、4年と長く使い続けることを考えた場合、より新しいOSを搭載している方が、将来的なアプリのアップデートにも対応しやすく、安心感が高いと言えるでしょう。
モデル名 | ブランド | CPU (SoC) | メモリ (RAM) | ストレージ (ROM) | Android OS |
---|---|---|---|---|---|
Tbox Ambient 128GB | Carlinkit | Qualcomm SM6225 | 8GB | 128GB | Ver. 13 |
OttoAibox P3 (PICASOU3) | Ottocast | Qualcomm SM6125 | 8GB | 128GB | Ver. 12 |
Tbox Plus 64GB | Carlinkit | Qualcomm QCM6125 | 4GB | 64GB | Ver. 13 |
PICASOU2 | Ottocast | Qualcomm SM6125 | 4GB | 64GB | Ver. 10 |
上の表からも分かるように、特にミドルレンジのモデルで比較すると、OSバージョンの差はさらに大きくなる傾向があります。
CPUの型番による若干の性能差はありますが、それ以上にOSの鮮度が長期的な利用価値を左右する可能性があることを覚えておくと良いでしょう。
価格・コスパで選ぶならどっち?

価格・コスパという、購入を決定する上で最も重要な要素の一つにおいて、結論から言えば、現状ではCarlinkitが明らかに優位なポジションに立っています。
前述の通り、Carlinkitは後発ブランドとしての価格戦略を徹底しており、Ottocastの同等スペックのモデルと比較した場合、多くのケースで1万円から、時には2万円近く安価に設定されているからです。
具体的に、市場で人気の高い「メモリ8GB / ストレージ128GB」のハイスペックモデルで価格を比較してみましょう。
セール時期などによって変動はありますが、おおよその相場は以下の通りです。
ハイスペックモデルの価格比較(目安)
- Carlinkit Tbox Ambient (8+128GB): 実売価格 24,000円〜30,000円前後
- Ottocast OttoAibox P3 (8+128GB): 実売価格 40,000円〜50,000円前後
このように、搭載されているCPUやメモリ、ストレージ容量といった主要なスペックがほぼ同じであるにもかかわらず、価格には1.5倍以上の開きが生じています。
もちろん、Ottocastには長年の実績に裏打ちされたブランドの信頼性や、豊富な日本語情報といった価格以外の付加価値があります。
しかし、純粋なハードウェアの費用対効果、つまりコストパフォーマンスだけを物差しにして評価するならば、Carlinkitが圧倒的に有利な選択肢であることは間違いありません。
なぜこれほど価格差が生まれるのか?
この価格差は、両社のブランド戦略の違いから生まれます。
Ottocastの価格には、ブランドイメージを維持するための広告宣伝費、カー用品店などへの販路拡大コスト、そして手厚いサポート体制の維持費などが含まれていると考えられます。
一方で、Carlinkitはパッケージを簡素化し、販売チャネルをAmazonや楽天などのオンライン通販に集中させることで中間コストを徹底的に削減し、製品価格に還元しているのです。
もしあなたが、「少しでも初期投資を抑えたい」「とにかくコスパを最優先したい」という明確な意志をお持ちであれば、Carlinkitを選んで後悔することはまずないでしょう。
ユーザーの評判・口コミの差は?

スペックや価格といった客観的なデータと同じくらい、製品選びで重要なのが、実際に製品を日々利用しているユーザーからの評判・口コミの差です。
ここでは、両ブランドに寄せられる代表的な意見を比較し、それぞれの長所と短所を浮き彫りにします。
Ottocastの評判・口コミ
Ottocastは、AI Boxの代名詞的な存在であるため、ブログやYouTubeでのレビュー、価格比較サイトの口コミが非常に豊富です。
これは購入を検討しているユーザーにとって最大のメリットと言えるでしょう。
【ポジティブな口コミ例】
「YouTubeに設定方法の動画がたくさんあって、初心者でも迷わず接続できた」
「ファームウェアのアップデート情報などが日本語で手に入りやすく安心感がある」
「定番モデルだけあって動作が安定している。大きな不満はない」
このように、情報の多さが安心感につながっているという意見が多く見られます。
一方で、やはり価格に関する指摘は避けられません。
【ネガティブな口コミ例】
「性能を考えると、やはり値段が高いと感じてしまう」
「Carlinkitと中身はほぼ同じなのに、この価格差は納得しがたい」
Carlinkitの評判・口コミ
Carlinkitの口コミで最も頻繁に目にするのは、予想通り「圧倒的なコストパフォーマンス」を称賛する声です。
【ポジティブな口コミ例】
「この性能の製品が2万円台で買えるのは驚異的。サクサク動いて大満足」
「Ottocastの半額近くで同等以上のスペック。賢い買い物ができた」
「最新のAndroid 13搭載で、この価格は他に選択肢がなかった」
価格と性能のバランスに満足しているユーザーが非常に多いことがうかがえます。
しかし、その裏返しとして、情報量の少なさやサポート面での不安を指摘する声もあります。
【ネガティブな口コミ例】
「初期設定で少しつまずいたが、日本語の情報が少なく解決に時間がかかった」
「マイナーなトラブルが出た時に、英語のフォーラムを読まないと解決策が見つからなかった」
Ottocastを選ぶ人: 価格よりも「安心感」と「情報のアクセスしやすさ」を重視する人。特にガジェット操作に不慣れな初心者の方におすすめ。
Carlinkitを選ぶ人: 「コストパフォーマンス」を最優先し、多少の問題は自分で調べて解決できるDIY精神のある人。ガジェット好きの中〜上級者におすすめ。
これらの口コミの傾向から、ご自身のスキルレベルや製品に求めるものを照らし合わせることで、どちらのブランドがより自分に合っているかが見えてくるはずです。
それぞれのメリットを整理

これまでの比較を通じて明らかになったCarlinkitとOttocast、それぞれのメリットを、改めて項目別に詳しく整理します。
ご自身がAI Boxに求める機能や価値の優先順位を考えながら、どちらのメリットがより魅力的に感じられるか、最終確認の材料としてください。
Carlinkitの主なメリット
- 圧倒的なコストパフォーマンス
最大の武器は、その価格設定です。Ottocastの同等スペック製品と比較して1万円以上安価な場合が多く、高性能なAI Boxを導入する際の経済的なハードルを大きく下げてくれます。これは「とりあえず試してみたい」という方にとっても大きな魅力です。 - 最新Android OSの積極的な採用
新しいモデルではAndroid 13をいち早く搭載するなど、ソフトウェアのアップデートに積極的です。これにより、最新アプリとの互換性やセキュリティ面での優位性が期待でき、製品をより長く、安心して使い続けられる可能性が高まります。 - 起動時間の速さ
全てのモデルではありませんが、一部のユーザーレビューでは、最適化が進んでいるためか、Ottocastの同世代モデルよりもエンジン始動後の起動時間が若干早いという報告があります。日々のわずかな待ち時間も短縮したい方には嬉しいポイントです。 - コンパクトでシンプルな製品設計
本体が比較的小型・軽量なモデルが多く、グローブボックスやセンターコンソール内など、車内の限られたスペースにもスッキリと設置しやすいのが特徴です。デザインもシンプルなので、どんな内装にも馴染みやすいでしょう。
Ottocastの主なメリット
- ブランドの信頼性と長年の実績
AI Box市場を初期から開拓してきたパイオニアとしての実績は、何物にも代えがたい安心感につながります。「多くの人が使っている定番製品」という事実は、特に高価な電子機器を購入する際の心理的な障壁を和らげてくれます。 - 豊富な情報量とユーザーコミュニティ
国内の利用者が非常に多いため、設定方法やアプリのインストール手順、トラブルシューティングに関する情報が、日本語のブログやYouTubeに豊富に存在します。問題が発生しても、先人の知恵を借りて解決しやすい環境が整っています。 - HDMI出力対応モデルの幅広いラインナップ
後席モニターで映像を楽しみたいというニーズに応える、HDMI出力端子を搭載したモデルの選択肢がCarlinkitよりも豊富です。家族でのドライブが多い方にとっては、これは決定的なメリットとなり得ます。 - 洗練されたデザインと品質感
製品本体のデザインやパッケージングに高級感があり、「所有する満足感」を重視するユーザーからも評価されています。細部の仕上げが丁寧で、品質感が高いと感じる方も多いようです。
このように、両者には明確な強みがあります。
価格を取るか、安心感を取るか。最新スペックを取るか、豊富な選択肢を取るか。
ご自身のカーライフを想像しながら、最適な選択をしてください。
CarlinkitとOttocastの比較|購入前の最終チェック
- 購入前に知るべきデメリットとは
- Carlinkitの対応車種を確認
- HDMI出力が必要ならOttocast
- コスパを最優先するならCarlinkit
- 結論!CarlinkitとOttocastの比較のまとめ
購入前に知るべきデメリットとは

AI Boxはカーエンターテインメントを劇的に進化させる可能性を秘めた製品ですが、魔法の箱ではありません。
購入してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、ブランドごとの違いだけでなく、製品カテゴリ全体が抱える共通のデメリットや注意点も、事前にしっかりと理解しておく必要があります。
まず、CarlinkitとOttocastのどちらを選んだとしても、現在の技術レベルでは避けられない、いくつかの共通の課題が存在することを認識しておきましょう。
AI Box共通のデメリットと、その理由
- 動作の不安定さ
AI Boxは車載ナビの裏側で、独立したAndroidスマートフォンが動いているようなものです。そのため、メモリ不足やアプリの相性問題で、稀にアプリが強制終了したり、動作が一時的に不安定になったりすることがあります。 - 起動時間(ブートタイム)
車のエンジンをかけると、AI BoxもゼロからAndroid OSを起動させる必要があります。スマートフォンの電源を入れた時と同じように、システムが完全に立ち上がるまで、通常30秒〜1分程度の待ち時間が発生します。 - 動画のレジューム再生が不完全
多くの動画アプリは、コンビニ休憩などで一度エンジンを切り、短時間で再始動した場合に、見ていた動画の続きから自動再生する「レジューム機能」がうまく働きません。これは、エンジンOFFでAI Boxの電源が完全に落ちてしまうためです。 - 有線接続ほどの絶対的な安定性はない
AI Boxと車両ナビはUSBケーブルで有線接続されますが、AI Boxとスマートフォン間のCarPlay/Android Autoはワイヤレスで接続されます。この無線通信が、トンネル内や電波環境の悪い場所でごく稀に瞬断する可能性があります。
これらの点は、AI Boxという製品が持つ構造的な特性です。
日々のスマートフォンの操作で時々体験するような小さなストレスが、車の中でも起こりうると理解した上で、その利便性がデメリットを上回るかを判断することが重要です。
加えて、これまで述べてきたブランド固有のデメリットも再確認しておきましょう。
Carlinkitの場合は、トラブル発生時に頼れる日本語の情報がOttocastに比べて少ない点、そして製品の外観がシンプルすぎて「安っぽく見える」と感じる可能性がある点が挙げられます。
Ottocastの最大のデメリットは、繰り返しになりますが、やはりその価格です。
Carlinkitの存在を知ってしまうと、性能差以上に価格差が大きいと感じ、購入をためらう方が多いのも事実です。
Carlinkitの対応車種を確認

製品選びのプロセスにおいて、スペック比較や価格検討以上に、そして最も重要なのが、ご自身の愛車で問題なく使用できるか、すなわち対応車種の確認です。
これを怠ると、せっかく購入した製品がただの文鎮になってしまう可能性すらあります。
特にCarlinkitは海外メーカーであり、日本国内の全車種での動作を公式に保証しているわけではないため、この点は最大限の注意を払ってチェックする必要があります。
基本的な大原則として、CarlinkitやOttocastをはじめとするほとんどのAI Boxは、「純正ナビゲーションシステムで、有線(USBケーブル)接続のApple CarPlayに対応している車」であれば、メーカーや車種を問わず利用できる可能性が非常に高いです。
ただし、この原則にはいくつかの重要な例外と注意点が存在します。
対応車種に関する重要注意点
- 無線(ワイヤレス)CarPlayのみの車種は非対応
一部のBMWやMINIなど、ワイヤレスのApple CarPlayにしか対応しておらず、USBケーブルでの有線接続ができない車種では、AI Boxは使用できません。 - Android Autoのみの車種も原則非対応
有線CarPlayには対応せず、有線のAndroid Autoにしか対応していない車種(一部のスバル車など)では、ほとんどのAI Boxは動作しません。ただし、ごく一部の最新モデル(例:CarlinKit Tbox UHD)ではAndroid Auto接続に対応し始めたものもあります。 - 公式リストはあくまで参考情報
Carlinkitの公式サイトにも対応車種リストは掲載されていますが、これは主に北米や欧州市場のモデルを基準に作成されています。日本のグレードや年式とは異なる場合が多いため、リストに載っていなくても、前述の「有線CarPlay対応」という条件を満たしていれば動作する可能性は十分にあります。Appleの公式サイトにある対応車種リストも参考になりますが、こちらも全ての情報が網羅されているわけではありません。 - 最終的には自己責任での判断が必要
公式リストにない車種での使用は、メーカーの動作保証外となります。万が一正常に動作しなかった場合でも、製品の不具合ではないため返品や交換は極めて難しいと考えておくべきです。購入前には、必ずご自身の車の取扱説明書を確認するか、ディーラーに問い合わせるなどして、「有線Apple CarPlay」への対応を確実に確認してください。
特に2019年以降のトヨタ車やレクサス、ホンダ、日産などの国産車でCarPlayの採用が進んでいますが、標準装備かメーカーオプションか、ディスプレイオーディオの種類などによって対応状況が細かく分かれています。
不確かな場合は、購入を急がず、まずはご自身の車の仕様を正確に把握することが最も重要です。
HDMI出力が必要ならOttocast

AI Boxの購入動機として、「運転席のナビ画面だけでなく、後席に設置したモニターでも子どもにYouTubeやNetflixを見せて、長時間のドライブを快適に過ごしたい」と考えている方も非常に多いでしょう。
この使い方を実現するためには、AI Box本体にHDMI出力端子が搭載されていることが絶対条件となります。
このHDMI出力機能を重視する場合、現状では製品ラインナップの豊富さと実績からOttocastを選択するのが最も確実で、おすすめです。
Ottocastは、古くからの人気モデルである「PICASOU2」や、現行のフラッグシップモデル「OttoAibox P3」など、複数の主力製品にHDMI出力端子を標準で搭載しています。
これにより、別途HDMIケーブルを用意するだけで、カーナビの画面に映し出されている映像と音声を、後席モニターやフリップダウンモニターに簡単に出力することが可能です。
家族での長距離旅行や、お子様を乗せる機会が多い方にとっては、この機能は非常に価値が高いものとなるでしょう。
一方、Carlinkitの製品ラインナップにおいて、HDMI出力を搭載しているモデルは、2024年に登場した最上位モデル「Tbox UHD」など、ごく一部に限られています。
市場で最も人気があり、コストパフォーマンスに優れる「Tbox Plus」や「Tbox Ambient」といった主力モデルにはHDMI端子が搭載されていないため、後席モニターでの利用を想定している場合は選択肢から外れてしまいます。
利用シーンから考える選択のポイント
【こんな方にはOttocastがおすすめ】
✅ 家族での長距離ドライブが多い
✅ 後部座席に子どもを乗せる機会が頻繁にある
✅ 車内で複数のモニターを活用してエンタメ環境を最大化したい
【こんな方にはCarlinkitでもOK】
✅ 主に運転手や助手席の人がナビ画面で動画を見る
✅ 後席モニターを設置していない、または利用しない
ご自身のカーライフや同乗者のことを具体的に想像し、HDMI出力が「あれば便利」な機能なのか、それとも「なくてはならない」必須機能なのかを明確に判断することが、購入後の満足度を大きく左右する重要な鍵となります。
コスパを最優先するならCarlinkit

前項とは全く逆の視点になりますが、「後席モニターは利用しない」「とにかく初期費用を抑えて、賢くAI Boxを導入したい」という方、つまりコストパフォーマンスを何よりも最優先するならば、もはや選択肢は一つ、迷わずCarlinkitを選ぶべきです。
もし私自身が、HDMI出力を必要としないユーザーの立場でどちらかを選ぶのであれば、間違いなくCarlinkitを選択します。
なぜなら、Ottocastのフラッグシップモデルとほぼ同等のCPU性能やメモリ容量を持ち、モデルによってはさらに新しいAndroid OSを搭載した製品を、1万円以上、時には半額近い価格で手に入れられるからです。
この圧倒的な価格差は、ブランドの安心感という付加価値を考慮しても、あまりにも大きいと言わざるを得ません。
確かに、Ottocastには長年の実績に裏打ちされたブランドの信頼性や、豊富な日本語情報という、初心者にとって心強いメリットがあります。
しかし、Carlinkitも近年急速に品質を高めており、基本的な性能や動作の安定性において、決して劣っているわけではありません。
むしろ、最新のAndroid OSをいち早く採用するなど、ソフトウェアの鮮度という点では有利なことさえあるのです。
基本的な操作方法や設定項目はどちらのブランドも酷似しており、一度接続してしまえば、日々の使い勝手にブランドによる大きな差は生まれません。
多少の情報量の少なさや、シンプルな外観デザインを許容できるのであれば、Carlinkitが提供する経済的なメリットは計り知れないものがあります。
例えば、Carlinkitを選ぶことで節約できた1万5千円の予算があれば、何ができるでしょうか。
- データ通信用の格安SIMを2年以上契約する
- 高音質なUSB-DACを追加して音質を向上させる
- 高性能なドライブレコーダーを新たに設置する
このように、浮いた予算を他のカー用品に充てることで、カーライフ全体をさらに豊かで安全なものへとアップグレードすることが可能です。
賢く、そして戦略的にAI Boxデビューを飾りたい方にとって、Carlinkitは最高のパートナーとなる可能性を秘めています。