快適なドライブをサポートしてくれるApple CarPlay。
しかし、CarPlayがすぐ切れるという問題に直面し、ナビや音楽が途中で使えなくなると非常に困りますよね。
特に、CarPlayの接続が有線であるにもかかわらず、急に繋がらなくなった、接続が不安定で音楽が途切れるといった症状は、多くのドライバーが経験する悩みです。
「CarPlayが有線で繋がららないのはなぜだろう?」「そもそもCarPlayの接続はUSBか?」といった基本的な疑問から、トヨタの純正ナビで接続できない、最新のiOS18やiPhone16にしたら繋がらないなど、その原因は多岐にわたります。
この記事では、それらの問題を解決するための原因特定方法と具体的な対処法を、専門家の視点から分かりやすく、そして深く掘り下げて解説します。
CarPlayがすぐ切れる?考えられる原因
- 急に繋がらなくなった時の状況確認
- CarPlayの接続が不安定になる要因
- ナビや音楽が途切れる主なケースとは
- CarPlayの接続はUSBポートが基本
- CarPlayが有線で繋がらないのはなぜか
急に繋がらなくなった時の状況確認

今まで問題なく使えていたCarPlayが急に繋がらなくなった場合、まずは慌てずに基本的な状況を確認することが解決への第一歩です。
多くの場合、複雑なシステム故障ではなく、ささいな見落としや、日々利用する中で発生する一時的なソフトウェアの不具合が原因であることが少なくありません。
パニックにならず、一つずつ原因の可能性を潰していくことが重要です。
結論として、iPhoneやカーナビ(ディスプレイオーディオ)の再起動、そして物理的な接続ケーブルの再接続を最初に試すべきです。
これはトラブルシューティングの基本であり、これらの簡単な手順だけで多くの接続問題は解決に向かいます。
なぜなら、iPhoneやカーナビは、私たちが日常的に使用するパソコンやタブレットと同じ、高度なオペレーティングシステムで動作する精密なコンピュータだからです。
長時間連続して使用していると、メモリ内に意図しないデータが蓄積されたり、バックグラウンドで動作しているプロセスがスタック(停止)してしまったりして、動作が不安定になることがあります。
再起動することで、これらのメモリやプロセスが一度クリアされ、システムがクリーンな状態で再始動するため、正常な状態に戻ることが期待できるのです。
また、USBケーブルの抜き差しは、単純な接触不良だけでなく、接続プロトコルの再認識(リハンドシェイク)を促す効果もあります。
最初に確認すべき詳細チェックリスト
- iPhoneの再起動:スリープ状態にするだけでなく、一度完全に電源をオフにしてから、再度電源を入れましたか?
- カーナビの再起動:車のエンジンを一度切り、数分待ってから再始動しましたか?一部の車種では、オーディオの電源ボタン長押しでシステムのみを再起動できます。
- USBケーブルの再接続:iPhone側と車両側の両方を一度抜き、再度「カチッ」と音がするまでしっかりと差し込みましたか?
- iPhone端子の確認:iPhoneのLightningまたはUSB-Cポート内部に、ポケットの糸くずやホコリが詰まっていませんか?(清掃する際は、電源を切り、金属製以外の柔らかいもので慎重に行ってください)
- iOSのアップデート履歴:問題が発生する直前に、iOSのアップデートを行いませんでしたか?アップデートが原因である可能性も考慮します。
これらの基本的な確認作業は、時間もコストもかかりません。
しかし、これらを行うだけで問題が解決するケースは驚くほど多いのです。
それでも改善しない場合は、次のステップで解説する、より深掘りした要因を探っていきましょう。
CarPlayの接続が不安定になる要因

CarPlayの接続が完全に切断されるわけではなく、「接続されたり途切れたり」を周期的に繰り返す、あるいは特定の条件下でだけ不安定になる、という症状も非常に多く報告されています。
このような断続的な症状は、原因の特定が難しく、運転への集中を妨げるため非常に厄介です。
接続が不安定になる要因は、主に「ソフトウェア」「ハードウェア」「外部からの干渉」の3つに大別できます。
これらの要因が単独で影響することもあれば、複数の要因が複雑に絡み合って接続の不安定化を招くこともあります。一つずつ可能性を探ることが重要です。
ソフトウェア要因の詳細
iPhoneのiOSやカーナビ側のファームウェアに潜む、特定の条件下でのみ発現する軽微なバグが原因となることがあります。
例えば、「特定のアプリ(音楽ストリーミングアプリなど)を使用している時だけ不安定になる」「ナビの音声案内が始まると途切れる」といったケースです。
これは、アプリとCarPlayシステムの相性問題である可能性も示唆しています。
特に、iOSをメジャーアップデート(例:iOS17→iOS18)した直後は、車両システムとの互換性が一時的に損なわれ、不安定になることがあります。
ハードウェア要因の詳細
見た目では分からなくても、USBケーブルは車内の厳しい環境(夏場の高温、冬場の低温、繰り返しの屈曲)により、内部で少しずつ劣化・断線していきます。
これが抵抗値を変化させ、データ転送エラーを引き起こします。
また、USBポートの金属接点が摩耗したり、iPhone本体の接続端子が緩くなったりすることも、走行中の振動による接触不良の原因となります。
車のバッテリーが弱っている場合、電圧が不安定になり、USBポートへの電力供給が途切れてCarPlayが切断されるというケースも報告されています。
外部干渉(ワイヤレス接続の場合)の詳細
ワイヤレスCarPlayは、主にWi-Fi(5GHz帯)を利用してiPhoneと通信します。
そのため、車内に持ち込んだモバイルWi-Fiルーターや、Wi-Fi機能を搭載したドライブレコーダー、さらには一部の無線充電器(Qi)などが発する電波と干渉し、接続が不安定になることがあります。
都市部の特定の場所や、大規模な商業施設の駐車場などで接続が不安定になる場合は、周囲の強力なWi-Fi電波が影響している可能性も考えられます。
原因を切り分けるためには、一度ワイヤレス接続をオフにして、信頼できるケーブルで有線接続を試してみるのが最も効果的な方法です。
もし有線で安定するなら、原因はワイヤレスの電波干渉である可能性が高いと判断できます。
私も経験がありますが、ダッシュボードに後付けしたWi-Fi機能付きのアクセサリーが干渉源だった、というケースがありました。
車内にある電子機器を一つずつオフにして試してみるのも、原因特定の近道ですよ。
ナビや音楽が途切れる主なケースとは

CarPlayを使用していて最も具体的にストレスを感じるのが、高速道路の分岐案内中や、お気に入りの楽曲のサビの部分で突然音声や画面が途切れる現象です。
これは、iPhoneとカーナビ間でリアルタイムに行われている膨大なデータ転送が、一瞬でも中断されることが直接的な原因です。
結論から言うと、このデータ転送の中断は、使用しているUSBケーブルの品質と状態に大きく左右されるケースが圧倒的に多いです。
見た目が綺麗でも、ケーブルは消耗品であることを認識する必要があります。
なぜなら、CarPlayは単にiPhoneを充電しながら画面をミラーリングしているわけではないからです。
地図の描画データ、GPSの測位情報、音楽のストリーミングデータ、アプリの操作信号、Siriの音声データなど、非常に複雑で大量のデータを、遅延なく安定してやり取りし続ける必要があります。
そのため、データ転送の安定性が低いケーブルを使用していると、車両の走行による微細な振動や、オルタネーター(発電機)の負荷変動によるわずかな電圧の変化で許容範囲を超えてしまい、通信エラーが発生してナビや音楽が停止してしまうのです。
「充電できればOK」という考えは禁物です
安価なケーブルや、長期間使用して劣化したケーブルは、充電に必要な電力線は繋がっていても、データ通信用の繊細な信号線が断線したり、外部ノイズからの保護(シールド)が不十分だったりすることがあります。
特に、Appleが定める性能基準を満たした製品の証である「MFi認証(Made For iPhone/iPad/IPod)」は、安定したCarPlay接続のための最低条件とも言えます。
Appleの公式サイトでは、MFiライセンスを取得したアクセサリを検索することも可能です。
具体例として、コンビニなどで手に入る安価な非認証ケーブルの多くは、そもそもデータ通信用の結線が省略されている「充電専用ケーブル」であり、これらではCarPlay自体が認識されません。
また、一見問題なく使えているMFi認証ケーブルであっても、ドアに挟んでしまった、根本を強く折り曲げて使っていた、といった日々のダメージが蓄積し、データ転送能力が著しく低下している可能性があります。
もし音楽やナビが頻繁に途切れるのであれば、最初に高品質な新品のUSBケーブルに交換してみることを強く推奨します。
CarPlayの接続はUSBポートが基本

CarPlayの接続方法について、「最近はワイヤレス接続が主流なのに、なぜUSBポートが重要なのか?」と疑問に思うかもしれません。
しかし、接続形態が有線であろうと無線であろうと、CarPlayを安定して利用する上で車両に搭載されたUSBポートの役割と仕様を正しく理解しておくことは、トラブルを未然に防ぐ上で非常に重要です。
有線CarPlayがUSBポートに直接ケーブルを接続するのはもちろんですが、市販されている多くのサードパーティ製ワイヤレスアダプターも、そのアダプター自体は車のUSBポートに接続し、そこから電力供給と車両システムとの通信を行います。
そして、車両に複数あるUSBポートのすべてが、CarPlayに必要なデータ通信機能を備えているわけではない、という点が最大のポイントであり、多くのユーザーが見落としがちな部分です。
多くの車種では、乗員の利便性を考慮して複数のUSBポートが設置されていますが、その役割はそれぞれ異なります。
一般的には、ナビゲーションユニットの近くにあるポートがデータ通信に対応しており、後部座席用やコンソールボックスの奥にあるポートは充電専用(または低速のデータ通信のみ)となっていることが多いです。
充電専用ポートに接続した場合、iPhoneの画面上では充電中のカミナリマークが表示されるため、接続できていると勘違いしがちですが、CarPlayは起動しません。
ポートの仕様を見分ける具体的な方法
車両のUSBポートがCarPlayに対応しているかを見分けるには、いくつかの方法があります。
- アイコンの確認:CarPlayに対応したデータ通信用ポートには、多くの場合、スマートフォンのアイコンや、USBの標準ロゴマーク(先端が丸、四角、三角で構成される三又のマーク)がポートの周囲に刻印されています。一方、充電専用ポートにはカミナリマークや「Charge Only」といった表記、あるいはバッテリーのアイコンが描かれていることが多いです。
- 取扱説明書の確認:車両の取扱説明書(マニュアル)には、オーディオやナビゲーションに関するページで、どのUSBポートがスマートフォン連携に対応しているかが明記されています。これが最も確実な確認方法です。
- 実際に試す:もしマニュアルが手元になく、アイコンも不明瞭な場合は、実際にすべてのUSBポートにiPhoneを接続して試してみるのが早道です。
例えば、近年の車種ではコンソールボックス内に2つのUSBポート(Type-AとType-C)が並んでいることもありますが、片方だけがCarPlayに対応している、というケースも存在します。
CarPlayが全く認識されない、というトラブルに見舞われた際は、まず接続しているUSBポートが本当にCarPlay対応のポートであるかを、改めて確認しましょう。
意外と見落としがちなのが、このUSBポートの種類です。
正しいポートに接続するだけで、今まで悩んでいた問題が嘘のように解決することも少なくないんですよ。
CarPlayが有線で繋がらないのはなぜか

CarPlayが有線ケーブルで全く繋がらない、あるいは一瞬認識するもののすぐに切断されてしまう場合、その原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っている可能性があります。
問題を効率的に解決するためには、闇雲に設定をいじるのではなく、原因となりうる箇所を一つずつ体系的に切り分けて検証していくアプローチが不可欠です。
主な原因は、「物理的な接続経路(ケーブル、ポート)」「ソフトウェア(iPhone、カーナビ)」「設定」の3つの領域に分類できます。
ここでは、それぞれの領域における具体的な原因と、それに対応する対処法を一覧表にまとめました。
ご自身の状況と照らし合わせながら、可能性の高いものから順に確認してみてください。
原因の領域 | 考えられる具体的な問題 | 主な対処法 |
---|---|---|
物理的な接続経路 | USBケーブルの問題: ・MFi非認証ケーブルの使用 ・経年劣化による内部的な断線や接触抵抗の増大 ・データ通信非対応の「充電専用」ケーブルの使用 | ・Apple純正または信頼できるメーカーのMFi認証済み新品ケーブルに交換する ・可能な限り短いケーブル(1m以下)を試す(電圧降下による影響を低減するため) |
車のUSBポートの問題: ・データ通信非対応の「充電専用」ポートへの誤接続 ・ポート内部のホコリ、ゴミ、液体の付着による接触不良 ・ポート自体の物理的な破損や経年劣化 | ・車両の取扱説明書でCarPlay対応のデータ通信ポートを確認し、接続し直す ・エアダスターや、乾いた柔らかいブラシでポート内部を慎重に清掃する | |
ソフトウェア | iPhone本体のソフトウェア問題: ・iOSの一時的な不具合やフリーズ ・特定のアプリとの競合 ・アップデートに伴うバグ | ・iPhoneの再起動(電源オフ・オン)を行う ・問題が発生する直前にインストールしたアプリを削除してみる ・iOSが最新でない場合はアップデートを検討する(ただし、最新版のバグも考慮) |
カーナビ本体のソフトウェア問題: ・カーナビシステムのフリーズや一時的なエラー ・車両のファームウェアのバージョンが古く、最新のiOSに対応していない ・過去のiPhoneの登録情報がエラーを引き起こしている | ・カーナビ(ディスプレイオーディオ)を再起動する(エンジンOFF/ONや電源長押し) ・自動車メーカーの公式サイトで、自車種のファームウェア更新情報を確認する ・カーナビの設定メニューから、一度登録済みのiPhoneの情報を完全に削除し、再ペアリングを行う | |
設定 | iPhoneの設定の問題: ・Siriが無効になっている ・スクリーンタイム機能でCarPlayが制限されている ・VPN接続が干渉している | ・「設定」→「Siriと検索」でSiriを有効にする ・「設定」→「スクリーンタイム」でCarPlayが許可されているか確認する ・利用しているVPNを一時的にオフにして接続を試す |
このように、原因は多岐にわたりますが、トラブルシューティングの鉄則は「簡単でコストのかからないものから試す」ことです。
まずは最も可能性が高く、簡単に対処できるケーブルの交換や、各デバイスの再起動から試してみるのが最も効率的なアプローチです。
CarPlayがすぐ切れる問題を解決する手順
- iOS18アップデート後に繋がらない場合
- iPhone16でCarPlayが途切れる原因
- 有線でCarPlayの接続が切れる時の対策
- トヨタ車でCarPlayが接続できない場合
- CarPlayがすぐ切れる問題を総まとめ
iOS18アップデート後に繋がらない場合

iPhoneの利便性を向上させるiOSのメジャーアップデートですが、時にCarPlayのような周辺機能との連携に問題を引き起こすことがあります。
特に、最新バージョン(例:iOS18)にアップデートした直後から、CarPlayが全く繋がらなくなったり、接続が頻繁に切れるようになったりするケースは、毎年のように世界中のユーザーから報告されています。
これは、新しいiOSに含まれる未解決のバグや、車両側の既存システムとの間に生じる新たな非互換性が原因である可能性が極めて高いです。
このような状況に直面した場合、Appleによるバグ修正を含むマイナーアップデート(例:iOS18.0.1やiOS18.1など)が配信されるのを待つのが、最も確実で安全な対処法となります。
しかし、日々の通勤やドライブでCarPlayが使えないのは非常に不便です。修正を待つ間にも、ユーザー側で試せるいくつかの改善策が存在します。
安易なOSのダウングレードは絶対に避けるべきです
インターネット上にはiOSを以前のバージョンに戻す「ダウングレード」という手法を紹介する情報もありますが、これはAppleが公式にサポートしていない非正規の操作です。
失敗するとiPhoneが起動しなくなる(文鎮化する)リスクや、全てのデータが消失する危険性を伴います。
また、セキュリティ的にも脆弱な状態になるため、専門的な知識とリスクへの理解がない限り、絶対に試すべきではありません。
まず試すべきは、OSのバグではなく、アップデートのプロセスで生じた一時的な設定の不整合を解消するための、基本的なトラブルシューティングです。
iOSアップデート後に試すべき詳細な対処手順
- iPhoneとカーナビの完全再起動:前述の通り、まずは両方のデバイスを完全に再起動し、システムをリフレッシュします。
- 車両登録情報の完全な再設定:この手順が特に重要です。まず、iPhoneのCarPlay設定(「設定」→「一般」→「CarPlay」)から、お使いの車を選択し「この車の登録を解除」をタップします。次に、Bluetooth設定画面からも同じ車両の登録情報を「このデバイスの登録を解除」します。最後に、車両のカーナビ側からもペアリング済みのiPhoneの情報を削除します。双方から接続情報を完全に消去した後、改めてUSBケーブルを接続し、初期設定からペアリングをやり直します。
- ネットワーク設定のリセット:接続プロトコルに関する情報が破損している可能性を考慮し、iPhoneの「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「リセット」→「ネットワーク設定をリセット」を実行します。この操作で保存済みのWi-FiパスワードやBluetoothペアリング情報がすべて削除されますが、CarPlayの接続に関する根深い問題が解消されることがあります。
これらの手順を試しても改善しない場合は、残念ながらiOS自体の不具合である可能性が濃厚です。
Appleの公式サポートコミュニティなどで、同様の症状を持つユーザーがいないか情報を収集しつつ、Appleからの正式な修正アップデートの配信を待つのが最も賢明な選択となります。
iPhone16でCarPlayが途切れる原因

待望の最新モデルiPhone(例:iPhone16)を手に入れ、早速車に接続したところ、CarPlayの接続が頻繁に途切れる、あるいは全く認識されない、といった問題に直面することがあります。
この場合、iPhoneの新しいハードウェア、特に接続コネクタの仕様変更に起因する物理的な互換性の問題が考えられます。
近年で最も大きな変更点は、iPhone15シリーズから採用された、従来のLightningコネクタからUSB-Cコネクタへの移行です。
この変更は、充電やデータ転送の規格を統一する上で大きなメリットがありますが、既存のCarPlay環境、特にLightningケーブルを前提として設計された車両との間で、過渡期的な問題を引き起こすことがあります。
従来のLightningケーブルを搭載した車で新しいUSB-CのiPhoneを使うために、「USB-C – Lightningアダプタ」を間に挟んで接続すると、そのアダプタ、使用しているケーブル、そして車載システムの三者の組み合わせによっては、信号が減衰したり、通信プロトコルが正しく認識されなかったりして接続が不安定になることが、Appleの公式サポートページでも言及されています。
この場合の最も確実な解決策は、アダプタのような接点を増やすデバイスを介さず、iPhoneのUSB-Cポートと車のUSBポート(Type-AまたはType-C)を一本のケーブルで直接接続することです。
iPhoneのコネクタと車のポートに応じた最適なケーブル選択
- 車のポートが従来のUSB-Aの場合:市場に最も多く出回っているタイプです。この場合は「USB-A to USB-C」のケーブルを使用します。必ずデータ通信に対応し、MFi認証(または同等の信頼性を持つメーカー)の製品を選んでください。
- 車のポートが新しいUSB-Cの場合:近年の新型車で増えているタイプです。この場合は「USB-C to USB-C」のケーブルを使用します。こちらも同様に、信頼性の高い製品を選ぶことが重要です。
アダプタは手軽で便利な反面、物理的な接点が増えることで接触不良のリスクが増え、データ転送の安定性を損なう可能性があります。
可能な限り、アダプタレスの一本のケーブルで直接接続することを強く推奨します。
また、新しいiPhoneの発売当初は、車両メーカー側のファームウェアが、その新しいデバイスの認証や通信プロトコルに完全に対応しきれていないケースもあります。
お乗りの車のメーカー公式サイトなどを定期的に確認し、ご自身のディスプレイオーディオ向けのソフトウェアアップデートが提供されていないかをチェックすることも重要です。
有線でCarPlayの接続が切れる時の対策

前述の通り、有線CarPlayの接続が切れる問題には様々な原因が考えられますが、ここではより具体的で実践的な対策を、トラブルシューティングの基本に則ったステップバイステップ形式でご紹介します。
以下の手順を上から順に、一つずつ丁寧に試していくことで、ご自身の問題の原因を効率的に切り分け、解決に導くことができます。
ステップ1:物理的な接続経路の徹底的な再確認
トラブルシューティングの原点にして、最も重要なステップです。
ソフトウェアの問題を疑う前に、まずは物理的な接続経路に一切の問題がないことを確実にします。
- ケーブルの交換と検証:Apple純正またはAnkerなどの信頼できるサードパーティ製のMFi認証ケーブル(できれば新品)に交換します。これが最も効果的な対策になることが非常に多いです。可能であれば、友人や家族の車でそのケーブルが正常に動作するかを確認できれば、ケーブルが正常であることの確証が得られます。
- ポートの変更と徹底的な清掃:車に複数のUSBポートがある場合は、必ずすべてのポートで接続を試します。また、iPhoneと車のUSBポートの内部に、圧縮されたホコリや糸くずが詰まっていることは珍しくありません。iPhoneの電源を切り、安全のため竹串や爪楊枝の先端を少し削ったものなど、金属製ではない道具で慎重に内部を清掃します。エアダスターで吹き飛ばすのも効果的です。
ステップ2:ソフトウェアの完全なリフレッシュ
物理的な接続に問題がないと判断できた場合、次にソフトウェアの一時的な不具合や、設定情報の破損を疑います。
中途半端な再起動ではなく、「完全なリセット」を意識して行います。
- iPhoneとカーナビの完全な再起動:両方の電源を完全にオフにし、できれば1分ほど待ってから再度電源を入れます。これにより、揮発性メモリ(RAM)が完全にクリアされます。
- 車両情報とペアリングの完全な削除と再設定:この作業は非常に重要です。iPhoneのCarPlay設定とBluetooth設定の両方から、一度車の情報を削除(登録解除)します。その後、カーナビ側からもiPhoneの機器情報を完全に削除します。「両方のデバイスからお互いの存在を忘れさせた」状態にした上で、改めて新品のケーブルで接続し、最初のペアリングからやり直します。
少し面倒に感じるかもしれませんが、この「双方から登録情報を完全に削除して再設定する」という作業は、アップデートなどで生じたソフトウェアの不整合を解消する上で非常に効果的です。
ぜひ試してみてください。
ステップ3:iPhone固有のソフトウェア設定の見直し
最後に、CarPlayの正常な動作を妨げる可能性のある、iPhone固有の設定項目を確認します。
- Siriの有効化の確認:「設定」→「Siriと検索」で、「”Hey Siri”を聞き取る」や「サイドボタンを押してSiriを使用」がオンになっていることを確認します。Siriが無効だとCarPlayは一切動作しません。
- スクリーンタイム制限の確認:「設定」→「スクリーンタイム」→「コンテンツとプライバシーの制限」→「許可されたApp」を開き、CarPlayのトグルがオン(許可)になっていることを確認します。
- VPNおよびセキュリティアプリの無効化:お仕事などでVPNアプリを使用している場合や、特殊なセキュリティソフトをインストールしている場合、それらがCarPlayの通信を妨げることがあります。一時的にこれらのアプリを無効にして、接続を試してみてください。
トヨタ車でCarPlayが接続できない場合

トヨタの純正ディスプレイオーディオ(DA)でCarPlayの接続に問題が発生する場合、一般的なトラブル要因に加えて、トヨタ車独自のシステム設定や仕様に起因するケースが考えられます。
特に、RAV4や新型シエンタ、クラウン、カローラシリーズなど、近年の多くの車種に搭載されているディスプレイオーディオでは、いくつかの確認すべき特有のポイントがあります。
まず最初に、そして最も簡単に見直せるのが、ディスプレイオーディオ自体の「スマホ連携サービス」の設定です。
トヨタのディスプレイオーディオの一部機種では、利便性のためにApple CarPlayとAndroid Autoの両方に対応していますが、どちらのサービスを優先的に使用するかを設定画面で明示的に選択する必要があります。
この設定が、何らかの操作の拍子に、あるいはシステムのアップデートなどで意図せず変更されてしまうと、iPhoneを接続してもCarPlayが起動しなくなる、という事態が発生します。
ディスプレイオーディオの設定確認手順
- カーナビ画面の物理ボタンまたは画面上の「MENU」アイコンをタッチします。
- 表示されたメニューから「設定・編集」を選択します。
- 「スマートフォン連携」または類似の名称の項目を選択します。
- 連携サービスの選択画面が表示されたら、「Apple CarPlay」がハイライトされ、選択されていることを確認します。もし「Android Auto」や「選択しない」などになっていた場合は、「Apple CarPlay」を選択し直してください。
もし選択されていなかった場合は、この操作だけで問題が解決する可能性が高いです。
T-Connectサービスやファームウェア更新との関連性
トヨタのコネクティッドサービスである「T-Connect」とCarPlayの動作が直接的に干渉するという報告は稀ですが、T-Connectの通信モジュール(DCM)が関係するシステム全体のアップデートが、CarPlayの動作に影響を与える可能性はゼロではありません。
もし上記の設定確認でも改善しない場合は、一度トヨタの正規ディーラーに相談し、ディスプレイオーディオのソフトウェア(ファームウェア)が最新の状態であるかを確認してもらうことをお勧めします。
トヨタの公式サイトでもナビゲーションの更新情報が提供されており、ソフトウェアの更新によって、CarPlayを含むスマートフォン連携機能の安定性が向上することがあります。
もちろん、前述の通り、MFi認証を取得した高品質なUSBケーブルを使用することや、車両説明書で指定された正しいデータ通信用USBポートに接続することは、トヨタ車に限らず、全ての車種で共通する最も重要な基本事項です。